私はGAFAの海外オフィス含め、転職で様々な外資系企業を経験してきました。もともとは日本の小さな企業から年収360万円でキャリアをスタートしましたがGAFAといった企業の転職や社内昇進を経て、最近もらった採用オファーの年収は2,600万円を超えるところまできました。
役割も採用される側から、採用する側にもなり、時期によってはほとんど毎日誰かしらの面接をしているといったこともあります。
この記事では、日本で求人件数が伸びるAmazonの面接対策として、実際に面接で聞かれた質問、想定される質問をご紹介し、どのように準備をしたらいいのかピボ転読者の方向けに紹介していきます。
なお、今も私が利用している最もおすすめのハイクラス転職エージェントはコチラの記事で紹介しています。年収アップを継続していきたい方は参考にしてみてください。
Amazonの面接は準備がしやすい
GAFAに働く多くの友人と話していて感じる個人的な感想ですが、GAFAの中でAmazonは最も質が高くいい面接します。全社で「どのように面接をすべきか」ということが一貫して浸透され、しっかりと実践までされているためです。
通常、面接内容は採用責任者や面接官各人に属人的になりやすく、今でもそういった面接をしている会社は外資系企業でも多くあります。
Amazonはその逆で、どのポジションであろうと、共通して取るべき面接のスタイル、評価方針が定まっており、面接官ごとにムラが非常にすくないわけです。当然、人間のコミュニケーションなので多少の差や例外はありますが、他社と比べたらそういった変化はわずかです。
すなわち、Amazonの面接のスタイルや評価方針を理解してしっかりと準備をすれば、Amazonの選考においてあなたは実力を出し切りやすいということになります。また、実力がある方はそれがストレートに反映されるため、面接に受かる難易度もそこまで高くないと言えます。
Amazonの選考の流れ
それではAmazonの選考の一般的な流れをまずご紹介します。もちろんポジションやタイミングによって違いはありますが、主要な点に大きな違いはないと思います。
Amazon選考の流れ
- 書類選考
- スクリーニング面接(通常、採用責任者との面接)
- 最終面接とライティング・アセスメントの案内
- ライティングアセスメントを最終面接前に提出
- 最終面接(通常、4〜5名と面接)
- 選考結果の報告
いわゆる面接の種類はスクリーニングと最終選考の2つであることが多く、面接の回数は合計で5〜6回程度ということになります。
また、最終面接となる本面接の前に、ライティング・アセスメント(筆記試験)に回答し提出する必要があるため、仕事が忙しい時期に重なってしまうと面接の準備のための時間が十分に取れないといったことにもなりかねません。
あらかじめ自分以外の候補者の選考状況など採用スケジュールを確認し、自分の仕事の状況と合わせて、うまく日程をコントロールしましょう。
なお、最近はオンラインでの面接が当たり前となり、最終面接を同じ日に設定する必要性は減っていますので、最終面接が数日にわたることもよくあります。
ちなみに、オンラインの会議システムはAmazon社の独自のツールが指定されます。あまり見慣れないツールですので、初めての方は事前にアクセスして流れを確認しておきましょう。
服装はカジュアルな服でも問題ありません。面接官もパーカーを着ていたりと様々です。とはいえ、候補者としてパーカーやジャージなどだとカジュアルな印象が強すぎるため、シャツやセーター、ジャケットなどビジネスカジュアルが無難です。
Amazonの面接官が確認したいこと
さて、肝心のAmazonの採用基準を解説していきます。面接官が、採用か不採用かを決めるために確認しようとしていることは大きく分けて2つです。
Amazonの面接官が確認したいこと
- ⅰ) 業務への適合度
- ⅱ) Amazonのリーダーシップ・プリンシプルへの適合度
ⅰ) 業務へのフィット
各職種に問われる専門性やスキルと言い換えてもいいかもしれません。一言でいうと「この人この仕事ができるか?」を知ろうとしています。
新卒採用を除き、基本的に中途での外部からの転職の場合、実施が想定される業務経験とスキルを持っていない人は採用できません。特殊性が高い仕事の場合など例外はありますが、その場合でも関連する経験と周辺領域のスキルや知識が要求されます。
質問の内容は、職種ごとに異なり専門的な内容となります。当然ながら、質問への答え方も、その領域について知っていることが伝わるように答える必要があります。
ⅱ) Amazonリーダーシップ・プリンシプルへの適合度
Googleの面接で聞かれる質問を公開したコチラの記事でも書きましたが、特にシリコンバレーの企業を中心に、会社のカルチャーやバリュー、ミッションを大切にしています
そして、USテック企業の中でも、Amazonは特に自社のリーダーシップ・プリンシプルへの適合度を重視ています。
そのため、マネージャー職に応募していない場合も、面接の対策として、各リーダーシップ・プリンシプルを示せる自分の経験を整理し、答えられるようにしておくことが受かるためにとても重要となります。
Amazonリーダーシップ・プリンシプル【まとめ】
1. Customer Obsession
リーダーはまずお客様を起点に考え、お客様のニーズに基づき行動します。お客様から信頼を得て、維持していくために全力を尽くします。リーダーは競合にも注意は払いますが、何よりもお客様を中心に考えることにこだわります。
2. Ownership
リーダーはオーナーです。リーダーは長期的視点で考え、短期的な結果のために、長期的な価値を犠牲にしません。リーダーは自分のチームだけでなく、会社全体のために行動します。リーダーは「それは私の仕事ではありません」とは決して口にしません。
3. Invent and Simplify
リーダーはチームにイノベーション(革新)とインベンション(創造)を求め、それをシンプルに体現する方法を常に模索します。リーダーは常に外部の状況に目を光らせ、あらゆる機会をとらえて新しいアイデアを探しだします。それは、自分たちが生み出したものだけにとらわれません。私たちは新しいアイデアを実行に移す時、長期間にわたり、外部の理解を得ることができない可能性があることも受け入れます。
4. Are Right, A Lot
リーダーは多くの場合、正しい判断をくだします。 そして、優れた判断力と直感を備えています。 リーダーは多様な考え方を追求し、自らの考えを反証することもいといません。
5. Learn and Be Curious
リーダーは学ぶことに貪欲で、常に自分自身の向上を目指し続けます。新たな可能性に好奇心を持ち、探求します。
6. Hire and Develop The Best
リーダーはすべての採用や昇進において、評価の基準を引き上げます。優れた才能を持つ人材を見極め、組織全体のために積極的に開花させます。リーダー自身が他のリーダーを育成し、コーチングに真剣に取り組みます。私たちはすべての社員がさらに成長するための新しいメカニズムを創り出します。
7. Insist on the Highest Standards
リーダーは常に高い水準を追求することにこだわります。この水準が必要以上に高いと感じる人も少なくはありません。リーダーは継続的に求める水準を引き上げ、チームがより品質の高い商品やサービス、プロセスを実現できるように推進します。リーダーは水準を満たさないものは実行せず、見逃さず、問題が起こった際は確実に解決し、徹底的な再発防止策を講じます。
8. Think Big
狭い視野で思考すると、自分が想像する以上の大きな結果を得ることはできません。リーダーは大胆な方針と方向性を示すことによって成果を出します。リーダーはお客様のために従来と異なる新しい視点を持ち、あらゆる可能性を模索します。
9. Bias for Action
ビジネスではスピードが重要です。多くの意思決定や行動はやり直すことができるため、過剰な調査や検討に時間をかける必要はありません。計算されたリスクを取ることに価値があります。
10. Frugality
私たちは少ないリソースでより多くのことを実現します。倹約の精神は創意工夫、自立心、発明を育む源になります。スタッフの人数、予算、固定費は多ければよいというものではありません。
11. Earn Trust
リーダーは注意深く耳を傾け、率直に話し、誰にでも敬意をもって接します。たとえ気まずい思いをすることがあっても間違いは素直に認めます。リーダーは自分やチームの体臭を香水と勘違いすることはありません。リーダーは常に自らを、そしてチームを最高水準のものと比較し、高みを目指します。
12. Dive Deep
私たちは少ないリソースでより多くのことを実現します。倹約の精神は創意工夫、自立心、発明を育む源になります。スタッフの人数、リーダーは常にすべての階層の業務に気を配り、詳細な点についても把握します。頻繁に現状を検証し、指標と個別の事例が合致していないときには疑問を呈します。リーダーが関わるに値しない業務はありません。
13. Have Backbone; Disagree and Commit
リーダーは同意できない場合には、敬意をもって異議を唱えなければなりません。たとえそうすることが面倒で労力を要することであっても、例外はありません。リーダーは、信念を持ち、容易にあきらめません。安易に妥協して馴れ合うことはしません。しかし、いざ決定がなされたら、全面的にコミットして取り組みます。
14. Deliver Results
リーダーはビジネス上の重要なインプットにフォーカスし、適正な品質でタイムリーにやり遂げます。どのようなハードルに直面しても、立ち向かい、決して妥協しません。
15. Strive to be Earth's Best Employer
リーダーは、職場環境をより安全に、より生産的に、より実力が発揮しやすく、より多様かつ公正にするべく、日々取り組みます。リーダーは共感を持ち、自ら仕事を楽しみ、そして誰もが仕事を楽しめるようにします。リーダーは自分自身に問いかけます。私の同僚は成長しているか? 十分な裁量を与えられているか? 彼らは次に進む準備ができているか? リーダーは、社員個人の成功に対し(それがAmazonであっても、他の場所であっても)、ビジョンと責任を持ちます。
16. Success and Scale Bring Broad Responsibility
Amazonはガレージで創業して以来、成長を遂げてきました。現在、私たちの規模は大きく、世界に影響力を持ち、そしていまだに、完璧には程遠い存在です。私たちは、自分たちの行動がもたらす二次的な影響にも、謙虚で思慮深くありたいと思います。私たちは、社会、地球、そして未来の世代のために、日々成長し続ける必要があります。一日のはじめに、お客様、社員、パートナー企業、そして社会全体のために、より良いものを作り、より良い行動を取り、より良い企業になるという決意を新たにします。そして、明日はもっと良くできると信じて一日を終えます。リーダーは消費する以上に創造し、常に物事をより良い方向へと導きます。
さて、このリーダーシップ・プリンシプルへの適合を準備するコツは、まず1~16の項目を自分の言葉に置き換えて理解することです。Amazonのページには載っているものは、英語で書いたものを翻訳した文章で日本人には少し理解しづらい文章になっています。
「要するに、〇〇でしょ。」と、まず自分なりに理解してみる。
そして、自分の経験を棚卸し、各リーダーシッププリンシプルと紐付けて整理した上で、以下の想定質問を解きながらブラッシュアップするとより自分の中で理解が深まります。
質問を聞いたときに、これは「〇〇とXXのリーダーシップ・プリンシプルを聞こうとしている質問だ」とピンとくるようになっていれば、いい準備ができているといえるでしょう。
面接官が利用する2つの質問方法
それでは、a) 業務へのフィットとb) Amazonリーダーシップ・プリンシプルへの適合度を確認するために、Amazonではどのように質問がされ、また、問題がだされるのでしょうか。
大きく分けて2つのタイプの質問がありますが、Amazonではほとんどの質問が、過去の経験を聞く「経験ベースの質問」で面接が構成されます。
面接官の質問方法2つ
- 過去の経験を聞く「経験ベースの質問」←コチラの質問方法が90%以上
- 想定される架空のケースを聞く「ケース問題」
それでは、「ケース問題」がないか、といういうと実は一部の面接官は仮定の話で質問する「ケース問題」を実施します。いざ、聞かれたときに驚いてしまわないよう、最低限の準備はしておくのば無難です。以下では、ケース問題の想定問題も加えています。
本記事では、質問をいただくことが多いマーケティング職、ビジネス開発・パートナーシップ職、プロダクト・マネージメント職について、想定質問を書いています。その他の職種について知りたい方は、TwitterなどでDMをいただければ可能な範囲で記事を追加させていただきます。
また、Amazonでは、職種にかかわらず共通して聞かれる質問もおおくあります。
面接で聞かれる14の質問:マーケティング職編
まずは、マーケティング職で聞かれる質問からみていきましょう。
GAFAの中、とりわけFacebook(現:Meta)やGoogleといった自社が広告媒体の会社に比べて、Amazonは広告出稿などを積極的に行なっています。いわゆる広告宣伝機能を中心としたマーケティング部隊にそれなりの人員を採用し、他のGAFA企業より広告予算も多く割り当てられています。
最近では、TVでのブランディング広告なども積極的に実施しており、広告出稿を中心としたマーケティングを経験したい方にとってはおすすめの企業の1つです。一人が担当する広告予算規模は、P&Gなどの非テック企業にもひけをとらず、世界トップクラスです。
経験ベースの質問
ケース問題
面接で聞かれる8つの質問:ビジネス開発・パートナーシップ編
ビジネス開発・パートナーシップ職は、ポジションにより求められる専門性が大きく異なります。
Amazonミュージックであれば、レーベルとの楽曲提供の交渉というミュージックサプライのマネージメントから、レーベルと共同でのマーケティングキャンペーンというディマンドのマネージメントといった形です。
ただ、ピタリと合う適切な経験をもっている人はなかなかいないため、対外企業との交渉経験がある人材は、業界問わず面接に進む機会が与えられることが多いのがAmazonジャパンの状況です。
経験ベースの質問
ケース問題
面接で聞かれる10の質問:プロダクト・マネージャー編
Amazonは日本でのローカライゼーションを昔から行なっており、GoogleやFacebook(現:Meta ), Appleに比べてプロダクト・マネージャーの求人数も多くあります。
また、他の企業ではケース問題になりやすいプロダクト・マネージャー職ですが、Amazonでは経験ベースの質問が他の職種同様に重視されています。
経験ベースの質問
ケース問題
さて、ここまで質問を読んだ方はお気づきかと思いますが、例外的に聞かれるケース問題を除き、考え込んでしまうような質問は、Amazonではあまり聞かれません。
では、どのように他の候補者よりも高い評価を得ていくか、答えの準備の仕方を以下でご紹介します。
Amazon面接での答え方のポイント
Amazonは多くの場合、過去の経験ベースの質問を聞いてくるため、まず自分の経験の棚卸しが重要となります。
- 自分の経験の棚卸し
- 経験の深掘り
- Amazonリーダーシップ・プリンシプルに沿って、抜け漏れや補足できることがないか深掘り
といったような形です。最初からAmazonリーダーシップ・プリンシプルにひっぱられると、業務の適合性をアピールするための素材が弱くなってしまうので、相手に合わせてAmazonリーダーシップ・プリンシプルを網羅的にカバーしにいくのは最後にしましょう。
また、企業のカルチャーに無理やり合わせて面接を通過しても、働いてから辛い、ということもあり得ます。Amazonのリーダーシップ・プリンシプルに反した答えをしてしまわないため、また、強調すべきポイントを理解するために目を通しておくといった開き直りも人によっては必要かもしれません。
とはいっても、リーダーシップ・プリンシプルに書いてあることは、働く上で当たり前のことが多かったりするので、そこまで特別なことでもありませんが。
Amazon面接の準備の掘り下げ方
Amazon面接の対策として、STARメソッド(Situation, Task, Action, Resultの頭文字をとってSTAR)というものがネット上でよく提唱されています。
確かに、Situation(状況), Task(タスク), Action(とったアクション), Result(結果)は当然ながら明確になっている必要があるのですが、他の候補者と差をつけるためにはさらに細かい視点で自分の経験を深掘りした上で、面接で答えるアウトプットとして磨きをかける必要があります。
そこで、ここでは私が答えの準備の際に利用していた、視点をご共有します。
Amazon面接での答えの掘り下げ方
- 「他の社員」で掘り下げる
- 「顧客視点」で掘り下げる
- 「時間」で掘り下げる
- 「数字」で掘り下げる
- 「姿勢」で掘り下げる
- 「スタートアップ精神」で掘り下げる
「他の社員」で掘り下げる
Amazonの面接で非常によく聞かれるのが「他の人との意見の対立をどう解決したか」という質問が聞かれますが、これは対立案があることは意思決定では当たり前であり、リーダーとしてその対立にうまく対処できることが不可欠だからです。実は、Amazon以外の企業でも、頻出の質問の1つです。
リーダーシップ・プリンシプルにある「Earn Trust」、「Have Backbone; Disagree and Commit」などは、まさに他の社員との協働の際に必要な姿勢を書いたもので、あなたの過去の仕事にも他の社員の人との関わりが少なからずあったはずです。
「顧客視点」で掘り下げる
うまい切り口がなくて困ったらこの「顧客視点」が役に立ちます。
リーダーシップ・プリンシプルの1番目にある「Customer Obsession」はまさにこれで、何かしらのトレードオフが発生する際は、「顧客視点」で解決策の理由づけができると答えが説得的になるマジックワードです。
「時間」で掘り下げる
リーダーシップ・プリンシプル「Bias for Action」にもありますが、Amazonを始めアメリカのテック企業は「時間」を大切にします。「スピード」と置き換えてもいいです。
ぜひ、「時間」を考慮して、あなたの下した意思決定を整理してみてください。
「数字」で掘り下げる
「数字」は言葉の中で不思議な力を持っています。数字や数式がたくさんあるだけで、学者の論文の評価が上がるといった調査があるほどです。
あなたの仕事にも、売上やユーザー数など必ず数字が関係しているはずです。ぜひ、主要な数字はスムーズに話せるように用意しておきましょう。
「姿勢」で掘り下げる
「姿勢」を語ることで、リーダーシップ・プリンシプルへの適合をアピールしやすくなります。「Think Big」を始め、そもそもリーダーシップ・プリンシプル自体が姿勢について述べているともいえます。ぜあなたの経験について、そのとき考えていた姿勢も考慮して整理してみましょう。
「スタートアップ精神」で掘り下げる
リーダーシップ・プリンシプル「Frugality」にもある通り、大企業でありがちなリソースフルな考え方をAmazonでは嫌います。スタートアップの経験がない方も、いかに予算・人、時間を無駄にしないか、という倹約的な精神があることを面接で伝えましょう。
面接の合否
Amazonの面接の結果は、例外もありますが比較的時間がかからず、他の候補者の最終選考が全て終わっていれば数週間以内に合否が知らされます。
仮に落ちてしまった場合も、そこで諦めずにリクルーターになぜダメだったか、他に自分の興味があるポジションで選考してもらえる可能性がないか聞いてみましょう。日々大量のポジションを埋めているリクルーティングチームは、Amazonに興味がある候補者と関係をもつことを悪くは思いません。
そのとき選考に繋がらなくても、合いそうなポジションが出た際に連絡を希望する旨を伝えていい関係を保つようにしてみてください。Amazonはまだまだ拡大途中ですので、それに合わせてあなたが採用される機会も広がっていきます。